健康ファミリー 2002年6月号掲載

●狂牛病の牛30頭は出る!? 

 狂牛病(牛海綿状脳症・略記してBSE)発生を
未然に防げなかった農水省に対し、問題の行政対応を検証する調査検討委員会(農水・厚労両省)は「重大な失政」をまねいたと断罪にも等しい判断を示しました。

 こうした一連の報道に対し武部農相は、小泉首相の「針のむしろに座りながら本当によくやっている」との後ろ盾を得て、農相続投のお墨つきがあるせいか、顔の色艶もよくご立派です。武部農相にしてみれば、自分が種をまいた針のむしろではなく、前任か前々任の農水大臣の失政の尻ぬぐいなのだから、堂々としていられるのでしょうか。

 ならば外務省の一連の不祥事に対して、改革の旗頭になった田中真紀子前外相の責任のとらされ方は、本人にしてみれば納得がいかないものだったはず。公金横領をはじめ裏金づくりに狂奔した外務官僚と時の大臣の責任はどうなるのでしょうか。

 話は元に戻しますが、狂牛病騒動に端を発したかのような、牛肉、豚肉、鶏肉など全国の畜産関係者、とりわけ大手の業者や総合商社がからんで偽装工作をしていた事件は、消費者保護とは名ばかりの行政対応が見透かされた結果、起きていたのです。

 雪印偽装食肉事件以前からも、食肉関係者の間では「ごまかしが行われやすい」と言われてきましたが、ブランド肉表示、外国産肉の混入は当たり前だったようです。それを裏付ける形が、総合商社九社の子会社「丸紅畜産」が、10年前から輸入鶏肉を国産と偽って販売してきたのです。その量は年間で1千d超(朝日新聞4月17日)とありますから、全国規模で偽装が行われてきたことは間違いなさそうです。

 日本での狂牛病発症の牛は、3頭に止まっていますが、乳牛の役目を終えた廃用牛の出荷が滞っているため、狂牛病の検査ができないだけの話です。専門家は「30頭程度感染していても不思議ではない」(朝日新聞4月17日)と見ているわけですが「農家に滞留する廃用牛は昨年末で約4万4千頭、今年2月には約5万8千頭に増えた」(同紙)といいます。

 もし、廃用牛から狂牛病が発見される可能性が、あと30頭いるとわかっていながら、問題を先送りにしている農水省だとするなら、今度は「前の農水大臣たちが敷いた針のむしろだから痛くもか痒くもない」と武部農相はどこまで居座り続けられるでしょうか。

●乳幼児薬治験43年間も放置

 農水省は狂牛病対応に、業界・生産者にばかり目をやり、消費者を裏切りつづけて「重大な失政」をまねいたわけですが、旧厚生省の一連の食品公害事件、薬害事件などはすべて製薬、食品企業に目を向け企業保護行政を先行し、患者には目もくれなかった「厚生行政の重大な失政」といえます。

「森永ヒ素混入ミルク」「キノホルム・スモン病」「クロロキン被害」「カネミ油症・水俣病」など重大な旧厚生省の失政ではあっても、患者への対応は冷酷無情なものでした。

 そうした旧厚生省は、薬害エイズ(HIV)、汚染されたヒト硬膜移植による薬害ヤコブ病(クロイツフェルト・ヤコブ病)、また旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)が販売した血液製剤を、出産の際に大量出血した時用いた結果、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染した薬害肝炎患者は、国内で200万人以上います。これらの薬害事件は、製薬メーカーと旧厚生省の「癒着の失政」にほかならないと考えます。 

 加えて大学病院などで起こす、医療事故は、全国で年間2万6千人もの入院患者が死んでいる、と推計しています。読売新聞4月17日は、国立保健医療科学院の長谷川敏彦・政策科学部長の推計値を報道しています。近々では東京女子医大病院に入院中だった、平柳明香さん(当時12歳)は、平成13年3月2日、心臓手術をうけたが、担当医の人工心肺装置の操作無知でその3日後に死亡したものです。加えてカルテの改ざんをしてミスを隠したものです。こうした医療ミスが厚労省の「失政」につながるかどうかはわかりませんが、厚労省の指導・監督の元にある大学病院などの限りない「医療ミス・事故」に対して、医療消費者への対応はどうも無策に等しいようです。

 厚労省はたび重なる医療トラブルを未然に防ぐ目的で、新生児投薬に対して、国として薬の効果や副作用を確かめる臨床試験を行うものです。一見前向きと見られる厚労省の発案ですが、『薬は毒だ』(農文協)の著者・田村豊幸氏(薬の副作用研究で医学博士。元日本大学教授)は、「乳幼児・大人の薬は通用しない」の項目の中で「(大人のを用いる危険)このような指摘は実は10年以上も前(著書の発行が1977年。したがって、67年頃<昭和35年>)からなされていたにもかかわらず、国もメーカーも野放し状態で改めようとしなかったのである」と記述してあります。

 厚労省の発表は「これらの薬はもともと成人用で、用量と用法も成人向けしか記載されておらず、保険もきかないうえ、副作用が出ても公的な救済はない。--」(読売新聞4月7日)だから、乳幼児の投薬に国が治験を開始する、と宣言するのですが、すでに43年前に、大人用の医薬を幼児用に使うことの危険性が訴えられてきたのですが、旧厚生省、製薬メーカーは放置してきたのです。

 こうした背景には、製薬メーカーが儲けの少ない幼児用医薬の開発に尻ごみしていたわけで、それを承知で黙認してきた旧厚生省があったわけ。ここにきて次々に暴かれる薬害や医療ミスに、厚労相の責任逃れの手段として、治験を開始することになったと見ていいでしょう。それにつけても厚労省や農水省の国民への健康と安全のためと称しての、偽装行政はもうたくさんです。


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