◎大メーカー信仰は崩れた!  

 4年目の油断か。96年7月、岡山で発生したO157食中毒事件は、堺市の小学生を中心に6000人以上が症状を訴える、大食中毒事件へと発展しました。その年、全国でO157の被害に遭ったのは、9451人、うち死者12名(毎日新聞調べ)という参事でした。
 これより6年前、90年9月に埼玉 浦和市の幼稚園で、井戸水が原因でと見られるO157事件が発生して2人が死亡しています。
 堺市のO157事件があ忘れ去られようとした時、世の中は抗菌グッズの氾濫が押し寄せ「このままでは細菌の逆襲が心配だ」と、声高に叫ばれてきたのです。
 今年の6月に入って埼玉県内のハム・ソーセージ会社2社、3銘柄にO157が検出された、と発表されましたが、これは検査ミスだったことがわかり撤回されました。しかし、神奈川県藤野町の医療法人「ふじの温泉病院」の介護老人保健施設「なごみのの里」で、入院患者と職員ら計41人(男性17、女性24)がO157の集団感染が確認されました。
 そしてご存知の「雪印」細菌汚染騒動は、日がたつにつれて製造工場としてのズサンな管理が明らかになり、厚生省からHACCP(ハセップまたはハサップとも呼ばれる総合衛生管理製造工程)の認可を受けていた大食品工場の犯罪なのです。
 日本人のカルシウム不足を国策として牛乳、乳製品で補うとの錦のみ旗(厚生省の言い分には誰も反対できないという立派な説)のもとに、乳製品メーカーとしては最大手にのしあがってきた企業です。
 HACCP方式は、宇宙飛行士が居住する空間で細菌に犯されないための超衛生管理方式で国内の大手企業はもちろん、中小企業までもこのHACCPを取得し、食品企業のイメージアップをはかってきたのです。厚生省が内外に示した衛星管理方式HACCPは、今回の雪印事件で砂上の楼閣だったことが判明したのです。 HACCPの衛生管理思想をつきつめると、その食品による細菌汚染を防ぐ目的を第一主義に考えるあまり、工場施設の殺菌・洗滌が厳しく、出来あがった製品が薬品まみれといった状況も生まれます。
 さらに今回の「雪印」事件は、大量 生産方式の全国ネット販売の弊害が浮き掘りにされたことです。発端は大阪工場で作られた「雪印低脂肪乳」という加工乳飲料にありましたが、流通 は広範囲であることから、ひとたび問題が起これば、まるで燎原の火のように広がる構図を抱えているのです。
 大メーカーの絶対的な信頼マークは崩れたわけですから、「地ビール」よろしく「地牛乳」や「地乳製品」が、地域起こしのためにも力を出すべきです。それには地域の消費者が大メーカーブランド信仰を捨て、地域に生きる者の助け合い精神を発揮したら、それこそ力強い地域振興に結びつくと考えますが、いかがでしょうか。

◎大病院も細菌の巣窟だ!

 大手食品業界の細菌汚染と同じように、信頼の医療もまた、細菌汚染にまみれているのですから、この先日本の医療はどうなるのか、心配の種はつきません。
 厚生省発表の98年度の国民医療費(国民が病気やけがの治療に使った医療費)の総額は約30兆円。総人口で割った国民一人あたりの医療費は約24万円弱。年代別 にみると、65歳未満が使った医療費の平均は一人当り約15万円弱に対して、65歳以上になると約70万円弱と、4..7倍もはね上がり、超高齢化社会の医療費のかかり方が深刻となります。
 こうした超高齢化社会にあって、病人という「お客」が引きも切らない大病院にあって、次々と起こる医療ミスは、現代医学の末路を表しているのでしょうか。
 O157で騒がれた堺市の病院で院内感染によって7人が死亡した事件は、「雪印」にも似た衛生管理の手抜きがあったのでしょう。
 堺市の「同仁会耳原総合病院」(院長・池田信明氏)で、ヒトの腸などにすむ細菌・セラチア菌がもとで院内感染を起こし、2ヶ月もの間に7人が死亡するという事件が発生したのです。すでに99年7月に、東京都墨田区の墨田中央病院がセラチア菌による集団感染で、5人が死亡しているのです。
 セラチア菌に感染した年代は、40代が1人であとは60代〜80代の男女です。池田信明院長は「セラチア菌は腸内に常にある菌で、毒性が弱く病原性があるとはみられていなかった」(朝日・7月3日)と述べ、昨年の墨田中央病院でのセラチア菌よる集団感染で5人が死亡した事例に対して「医学界にも認識がなかった」と語っています。
 そもそも病院とは、細菌の巣窟だから、細菌に対しての認識は甘いのだ、と言わんばかりです。細菌の逆襲にやられるのは、抵抗力のない高齢者か幼児です。加えて抗生物質漬けにさせられている病人たちです。強力な院内感染を引き起こすMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、多投与される抗生物質に対しては逆襲「細菌」なのです。こうした事実を一番よく知っているのは医療関係者のはずです。
 病院経営のためには収入の多くなる医療・抗生物質の投与と、検査と手術が必要です。小児のカゼにまで抗生物質の投与を認めている今の医療行政のあり方が問題なのですが、現場の医師たちの儲ぎ高も、病院の収入ランク表に挙げられ、病院経営にとってメリットを生む医師か、そうでない医師かに振り分けられている状況に、患者としては一抹の不安を感じるのです。そう考えてみると汚染の元は細菌だけではないようです。


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