健康ファミリー 2002年10月号掲載

●偽装事件で飛んだ狂牛病 

 狂牛病(BSE)発生に伴って、日本では昨年10月以降、全頭検査以前に処理された国産牛肉を、国が買い取る制度が施行されました。つまりそれまでの国産牛肉が、狂牛病に汚染されているかもしれない、と考え、農水省は(卸売、小売や焼肉店など)食肉業者の悲鳴に対して、税金による牛肉の買い取り制度をつくったわけです。
 買い入れは国産牛肉と仕切りを設けたものの、千載一遇のチャンス到来と見た食肉業界は、狂牛病と関連のなかった輸入肉を、国産牛肉と偽装し買い取り制度を悪用して、税金をだまし取った事件が次から次と発覚したのです。
 そのもっとも大きな偽装詐欺事件は、日本ハムグループになるわけで100%日本ハム出資の日本フード関連営業部(愛媛・徳島・姫路)で輸入牛肉を国産牛肉と偽って申請したものです。くわしくは連日の報道にありますが、まず驚くのは、偽装に至る企業体質に驚かされます。
 日本ハムの平成12年3月の日本フーズを含めての連結決算による総売上高は9450億円。そのうち食肉部門は6448億円。さらに牛肉部門の売り上げは1542億円。日本フードだけでは平成11年度で3178億円。内牛肉販売は1420億円という膨大な売上げです。
 日本ハムが申請した肉の全量は日本フードが出した143トンを含めて938トン(買上げ金額はキロ当り700円。一説には当初1キロ1114円と設定)で合計6億5千6百万円にもなったのです。日本フード分の143トン分の約1億円は、日本ハムを通じてすでに支払われています。
 さて日本ハムを通じて申請された外国産牛肉は、約5トン(8月21日現在)で金額にして約350万円だったのです。この中に、日本フーズ愛媛は新たに3554キロもの輸入牛肉を混入させていたのです。
 狂牛病の関連で支払われた補償金や助成金はすべて税金です。この補償に当時の鈴木宗男議員は「200億円もあればいい」(8月16日日経・ニュースなるほど)と軽く言い放ったそうですが、政・官・業の癒着の構造をまざまざと見せつけています。
 狂牛病の発生は、日本では今のところ5頭で止まっていますが、売れ残り牛肉や輸入牛肉の違法助成に時間と金を使うより、農水省としては、狂牛病の発生経路に全力を上げるのが道筋というものです。
 ハンバーガーの値段が、再度下がって消費が上がったといいますが、これらに使う肉は、すべて外国産だといいます。だから狂牛病の心配はいらないのだ、と誇張しているように見えるのですが、安かろう悪かろうの疑いもあります。逆に、高ければ安心の松坂牛も、コンビーフの一流メーカー「ノザキ」の手にかかれば、ただの安物牛肉(中国産の冷凍牛肉や国産乳牛の肉)を使用して、本物の松坂牛や米沢牛は2割程度入れただけだったそうです。
 戦後もややあって、進駐軍の横流し(PX物資)コンビーフ缶詰を口にしたことがあります。脂身の中に肉片筋が混ざった状態でも、醤油で塊りをくだき、メシと一緒に口に入れた時の味は、今でも思い出すほど美味でした。だからコンビーフと言えば牛の缶詰めと思い込んでいて、そこに松坂とか米沢と書かれていれば銘柄品と思ってしまいます。こんなウソは、戦後からまかり通っているわけですから、情けなくなります。
 日本ハムをはじめとした残りの食肉偽装メーカーも、やがて露呈されてくるでしょうが、狂牛病騒動はいったい何だったのでしょうか。

●過剰投与の薬で泣くのは患者 

「高齢者の1割強、投薬で悪化」と論文を発表した東京・港区薬剤師会長・島野純氏(66)が、医師会の圧力で辞任に追い込まれた、と読売新聞7月19日が伝えます。
「論文の基になったのが非公開の資料だったことから、薬を処方した医師らが所属する区医師会は、守秘義務違反のうえ、医師の裁量権を侵す」と反発したものです。
 医師の裁量権が侵されたとするならば、薬漬けにされた患者は、人格権を侵された、と訴えればいいのでしょうか。報道された患者の例は、
1.前立腺肥大症のほか、下痢、便秘を繰り返す男性(76)の場合
 処方薬11種類のうち、便秘を起こしやすい薬が10種、下痢を起こす薬も7種含まれていた。
2.進行性筋ジストロフィーの女性(69)には、
 症状を悪化させる薬が出ていた。
3.意識障害から暴言暴行をおこす男性は(87)は、
 錯乱状態を起こす副作用がある胃薬を服用。
.4痴ほうと食欲不振のある女性(89)
の薬には、食欲低下の副作用があった。(論文は薬学誌「臨床と薬物治療」1月号に掲載された)
『医療現場では今でも高齢者に不要な薬がたくさん出されている……朝日新聞8月10日の「かしこい!?患者学」(編集委員・田辺功氏)に書かれている。「筆頭が睡眠薬・精神安定剤」と、北摂総合病院理事の中野次郎さんは指摘する。高齢者は薬の分解が遅い。安定剤ジアゼパムが血中で半分になるのに青年の4倍近く、約80時間もかかる……』
 日本の医療は検査と薬漬けに代表されて久しいのですが、薬剤師の島野純氏が調べた内容からみても、薬漬けの実態はひどいものです。医師による薬漬けを薬剤師が暴いたことに腹を立てた医師会が圧力をかけたと見るべきです。個人情報だ、守秘義務だといいますが、薬の専門家が見ての判断であり、患者自身を特定できる記述ではないし、まして投薬医師も特定できないのだから、おかしな話です。
 処方内容に患者から疑問を差しはさめない今、こうした情報の公開はさらに強める必要があるのです。


▼偽装牛肉で狂牛病はどこに行った 投薬情報の公開で患者が救われる
▼世間を騒がせた無認可添加物大手を振って歩ける「特恩赦」
▼日本人の「スローフード」とは!医療ミスが再発する寒い現実
▼「農水省」「厚労省」の国民への偽装行政はもうたくさんだ!
▼一両損の患者は、医療の名で命を落とすことが減るのか!
▼健康長寿には腹7分食!肉食半減で8億人救済!
▼肉を食べると本当に元気が出てくるのでしょうか!?
▼医療費の自己負担を減らす生活習慣の改善を心がけて!
▼狂牛病・感染のリサイクルは始まった!?人工乳と高栄養食、人も牛も同じだ!
▼双狂牛病EU評価を断って、危険度評価を自らつけた農水省者
▼再長寿の条件と薬原性疾患、医原性疾患の狭間に泣く患者
▼何でも食べる日本人に、21世紀は食への戒律が必要になってきた!
▼日本人の精神構造は立ち直れないほど崩れているのか
▼「かぜ薬」を侮ると、インフルエンザ脳症や脳出血の副作用が!
▼雪印が残した大メーカーへの不信 医療不信へつながる院内感染事件
▼宰相の脳血管障害は日本人の生活習慣病の行き着く先だ!
▼若手肥満人口2600万人の意味〜動物性食品の過食と運動不足〜

 

すべてのお問い合わせはこちらまでお願いします。
Copyright(C)2014 Bunrishoin All Right Reserved.