健康ファミリー 2002年11月号掲載

●笑えない日本の農薬漬け 

 中国からの農産物に日本で禁止された農薬が使われていて、輸入や販売がストップされている最中、日本の農産物(リンゴ、ナシ、西洋ナシ、モモ、サクランボ、イチゴ、スイカ、ミカン、ショウガ、メロン、カキ、ヤマトイモなど)に、失効農薬が使われていました。以前は堂々と使われていた登録農薬のダイホルタン(殺菌剤)やプリクトラン(殺虫剤)は、発ガン性が指摘されて登録が失効(89年と87年)し、無登録農薬となって、国内で製造が中止され、その7年後(96年)に食品衛生法による残留農薬基準で「食品から検出されてはならない農薬」に指定されたのです。
 本誌連載中の「農薬ってこういうもんだ」の内藤一仁さんは「なぜ新聞などで無登録農薬と書くのか、はっきり禁止農薬と書くべきだ」と怒りを編集部へぶつけてきました。禁止とならなかったのは、一度登録された農薬が、発ガン性を指摘されて登録が抹消され、製造中止になったからにすぎません。つまり当時禁止としなかったのは、製造メーカーや農協の在庫処分状況や、それらに替わる新農薬の製造や登録を見はからっていたからだと考えられます。
 ダイホルタンを使っていた宇都宮のリンゴ農家は「木の栄養剤」と聞かされていたり、山形のリンゴ農家は「葉面散布剤だ」として使っていたそうです(毎日新聞8月28日)。筆者は9月初旬宇都宮郊外に出かけた折、農業関係者から「宇都宮のリンゴ農家はほとんど新聞で話題になった農薬を使ってんだよ」との声も耳にしました。
 朝日新聞9月1日の「無登録農薬放置1年半」と題した報道で、すでに昨年2月、無登録農薬が広く使われていることを示唆する分析があり売っていた業者に立ち入り調査したが、業者の名簿に書かれていた農薬名が違っていて見抜けなかった、とあります。朝日新聞の調査では、北海道から鹿児島まで34道府県の約1160戸の農家で、果樹や野菜、花など27品目に使われていた、といいますから、今回の無登録農薬の殺菌剤や殺虫剤だけで済まない問題が隠されていると見るべきです。
 都内のキュウリ農家からは、すでに31年前(1971年)に禁止農薬に指定された有機塩素系農薬の、ディルドリンやエンドリンが検出されたと報道されました。農家の方には失礼ですが、仮に近々これらの農薬を使っていたら論外ですが、そうでなければ、31年以前に使われていた農薬が、土壌に残留していたことになるわけで、有機塩素農薬の恐ろしさを証明したことになります。
 本誌10月号「編集長からの一言」欄に少々書きましたが、今から31年前にDDT、ディルドリン、アルドリン、エンドリン、クロルデン、ヘプタクロルの6つの有機塩素系農薬は、農作物の殺虫剤やシロアリ防除剤として使われていたのですが、急性毒性や発ガン性、環境ホルモンなどが指摘され、製造、販売、使用が禁止されたのです。読売新聞(01年12月7日)は、「DDTなど有機塩素系農薬、30年前に販売中止・埋没。31道府県の174ヵ所に3680d土中に“塩漬け”」とスクープしています。
『沈黙の春』のレイチェル・カーソンが「これら有機塩素系化合物は自然環境はもとより、食物連鎖によって人間にまで害を及ぼす」と警鐘を鳴らしてから、工業製品に使われたPCBや農薬など、有害化学物質に対して注目されたのです。当時の農水省としては、71年に、これら農薬を処分する方法として「余った農薬を分散して埋めるよう指導し、翌72年には1件3d以上の大規模埋設に補助金もつけられた」(同読売)とあります。
 当時はこれら有害化学物質の処分方法が確立していなかったため、土中に埋めて隠したわけです。
「補助金を使って埋めた43ヵ所約2千159トン、その他は131ヵ所約1521トンが判明していて、最も多かったのは北海道の約566トン(2ヵ所)、新潟県の約475トン(97ヵ所)、岡山県の約455トン(1ヵ所)、滋賀県の約250トン(2ヵ所)、愛媛県の約226トン(1ヵ所)が続いている」と同紙は報じています。
 DDTやアルドリンなど有機塩素系農薬が、全国で3680トンも埋められたまま放置されて30数年、地下水の汚染はもとより生態系に、何らかの影響が出ているのではないかと、心配するばかりです。

●病気の沙汰も金しだい 

 医療費の改訂(健康保険法改正)によって、70歳以上の高齢者で年収が夫婦2人で630万円以上あると自己負担は2割で、そうでない人は1割の負担が今年10月から実施されます。いっぽう70歳未満で3歳から69歳までは一率3割負担。実施は03年(平成15年度)の4月から実施されます。3歳未満は2割負担ですが今年の10月から実施されます。
 加えてサラリーマンや自営業者などの保険料も上がって、病気をしてもしなくても負担が重くのしかかってきます。こうした保険料率負担で不公平が生じるのは、国家公務員や地方公務員の保険料の負担が軽く、さらに医師会の医師などは、市町村から優遇されて、負担率がやはり軽くなることです。さらに改訂のポイントは、大企業のサラリーマンの保険料を年収ベースにし、政府管掌健康保険料率は、7・5%から8・2%の年収ベース(03年4月より)に改訂されます。
 医療費の低減を目的とした改訂ですから、「病気はするな」「病院へは行くな」と言い、「病院に入院したら高い金を払え」「入院しても3ヵ月で追い出すゾ」と突きつけられているのです。
 さて、ここまで言われてあなたはどうしますか。生活習慣をおもいっきり考え直してみますか。


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